手の太陽小腸経南大阪鍼灸所
経絡経穴
- 1.少沢(井金穴)
- 2.前谷(榮水穴)
- 3.後谿(兪木穴)
- 4.腕骨(原穴)
- 5.陽谷(経火穴)
- 6.養老(郄穴)
- 7.支正(絡穴)
- 8.小海(合土穴)
- 9.肩貞
- 10.臑兪
- 11.天宗
- 12.秉風
- 13.曲垣
- 14.肩外兪
- 15.肩中兪
- 16.天窓
- 17.天容
- 18.顴髎
- 19.聴宮
経絡の流注
小指末端(少沢穴)に起こり、手の尺側(前谷穴、後谿穴)を循り、手関節を経て前腕尺側を上行して肘関節(小海穴)に至り、上腕後内側より肩の後から肩甲を循り大椎穴で左右が交わる。次いで缺盆穴に入り心を絡い、横隔膜を下り胃に抵り、小腸に属す。
その支なる者は缺盆穴からわかれて頚を循り、頬に上り外眼角(瞳子髎)から耳中に入る。またその支なるものは、頬からわかれて鼻から内眼角(睛明穴)に行き、足の太陽膀胱経に連なる。
解説
手の太陽小腸経はまず小指の先から始まり、手の尺側(小指側)を上っていき、手関節を通りさらに前腕の尺側を上に行き肘関節に至ります。さらにここから上っていき上腕の後内側から肩の後から肩甲骨を通って脊柱上にある大椎穴で左右が交わることになります。
この大椎穴から鎖骨の上にある缺盆穴を通って胸の真ん中(膻中穴)を通り心を絡い、さらに下がって横隔膜を下り胃(上脘穴・中脘穴)につながったあと小腸に属することになります。
またこれとは別の流れとして缺盆穴からわかれて首を通って頬に行き一度目の横の外眼角を通ってから耳にまでつながっています。さらにこれとは別れた流注もあり、頬からわかれて鼻から目の内側の内眼角にまで行って足の太陽膀胱経に連なっています。
手の太陽小腸経の生理作用は次のように言われています。
小腸は上は胃の幽門に接し、下は大腸の回盲部に連なる。心と互いに表裏をなす。小腸は胃の水穀を受けて盛んとなり、清濁を分利する。また営養を吸収して糟粕を伝送する。
このように、小腸は胃の幽門と大腸の回盲部の間にあり、心と表裏関係にあります。小腸では胃から送られてきた水穀を清濁に分ける働きがあります。また営養を吸収し糟粕を送る働きもあり、非常に重要なものとされています。
主要穴
小腸経にはたくさんの主要穴があります。少沢、前谷、後谿、腕骨、陽谷、養老、支正、臑兪、天宗、肩中兪、天容、聴宮などがそうです。
中でも臑兪、天宗、養老、後谿などは最も重要な経穴になります。もちろんそれ以外の経穴も非常に大切なものが多いのが小腸経の特徴であるとも言われています。
少沢は気絶や失神の際の救急療法に用いられ非常によく効く経穴です。前谷は何度も繰り返す熱などに、後谿は肺炎予防の名灸穴とされています。また、養老穴はリウマチの患者さんなどにもよく使用されています。
臑兪は上肢の神経痛やリウマチなどに効き、また高血圧に対する名灸穴でもあります。天宗は胸痛や肩こり、上腕の症状に対して用いることが多く、聴宮は耳痛や中耳炎に対して使用されています。
養老は顔のできものなどに聞きますが、これは手の陽明大腸経の手三里や合谷と組み合わせて使うことが多いです。小さなものならば手三里だけでもいいですが、大きいものには養老を一緒に使うことが勧められます。
手の太陽小腸経と手の小陰心経とは表裏関係にあり、相互関係を有するものです。たとえばリウマチの治療の場合には心兪および心経の経穴が必要であり、少海や神門などのほか、心の募である巨闕のいることが多いです。