手の少陰心経南大阪鍼灸所
経絡経穴
経絡の流注
心中に起こり、心系に属し、横隔膜を下って小腸を絡う。その支なるものは心系より上行して咽を挟み目につながる。
直行するものは、心系より却って肺に上り、下って腋下に出て上腕内側を下り、肘の内側(少海穴)に出て、前腕内側を通って手関節内側の豆状骨上際(神門穴)を経て、小指の末端橈側に終わり、手の太陽小腸経に連なる。
解説
手の少陰心経はまず胸の中にある心臓中より起こって、心系に属しています。そして、胸から横隔膜を貫いて下にいき、小腸を絡うことになります。東洋医学では心と小腸は表裏の関係にあると考えており、お互いが密接に関係しあっています。
また、胸からは上に上がる経路もあり、心系より上って咽(ここでは咽頭や食道)を挟んで、さらに上って目につながっています。この際、心系は目の内側に入り、小腸経は外側につながっています。
そのほか、経絡として直行するものは、心系から肺に行き、さらにそこから腋窩にある極泉穴に出て、ここから上腕の内側を下って肘に行きます。肘の内側で少海穴を過ぎて、さらに前腕を下っていき、霊道・通里・陰郄を通って尺骨茎状突起の先にある神門穴に出ます。ここから掌の小指の内側を通過して、最後に小指の爪の内端の少衝穴に出ることになります。
手の少陰心経はこのような流注を通って、手の小指の先で手の太陽小腸経と交わっています。
心経はその生理作用として次のようにいわれています。
心は胸中にあり、心包によって包まれている。小腸と互いに表裏をなし、舌に開竅する。心は血脈を主り、血脈の運行を主宰し、全身を濡養する。生命活動の中心であり、また神明を主り情志思維活動の中枢である。
このように心は心包とも関係があり、小腸と表裏関係にあります。そして、心は血脈を主っており、全身に血脈を運ぶことによって体に栄養を送っており、生命活動の中心と位置付けられています。これは西洋医学での心臓の働きをイメージするのが分かりやすいでしょう。
また、素問霊枢などによれば、「心は君主の官、神明出ず」といい、また「心は生の本、神の変なり」、「心は神を蔵す」といわれています。ここから、心臓の病変をあらわす経穴として、神という字が入っている経穴が治療点として用いられることもあります。
神道・神庭・神蔵・神封・神闕などがあります。これらの経穴は心臓疾患以外にも精神疾患に対しても良く使用されます。
その他「霊」も心と関係していると考えられ、霊という字の入る経穴が心臓疾患の反応点として現れることがあります。
霊道・霊台・霊墟・青霊などがそうです。
さらに心経の反応は腎経にもかかわっていることがあります。これは心経と腎経がともに少陰経であるからです。先ほどの神封や神蔵、霊墟などは腎経に属しています。
主要穴
心経でよく使用される主要穴としては、少海、陰郄、神門、少衝があげられます。なかでも神門と少海は日常診療でよく使う経穴です。
神門は心臓疾患や精神疾患の他にも便秘、腹痛に対して高い効果があります。少海は心臓疾患のほかに耳鳴りや難聴に対して使用します。また慢性副鼻腔炎にも用います。
陰郄は胸の痛みに対して効果があり、少衝は救急療法として使われています。