甲状腺機能低下症南大阪鍼灸所

 category : 代謝内分泌 

気づきにくい甲状腺機能低下症

鍼灸治療を受けにこられる患者さんの中にも甲状腺の病気を持っておられる方が多数おられます。橋本病のほとんどの方が西洋医学的な治療は必要とされませんが、冷え症や疲れやすいなど症状は鍼灸治療を行うことで改善していく可能性があります。

甲状腺の機能

「甲状腺」は「甲状腺ホルモン」というホルモンを作っている臓器です。「甲状軟骨(別名のど仏)」の下にあり通常は縦横5センチほどの大きさです。甲状腺ホルモンには体の新陳代謝を高める働きがあります。体を活性化させるホルモンであるため、量が多過ぎるといつも走っているような状態になって「息切れ」が起こったりします。逆に量が少なすぎると「元気がなくなる」などの症状が現れてきます。

橋本病とは

「橋本病」は甲状腺に慢性の炎症が起こる病気で「慢性甲状腺炎」とも呼ばれています。この炎症は橋本病に特有の「抗体」によって起こります。炎症が進行すると甲状腺機能が低下して甲状腺ホルモンが十分に分泌されなくなります。「甲状腺機能低下症」は女性に多くみられます。

甲状腺ホルモンは脳の「下垂体」という部位から分泌される「TSH(甲状腺刺激ホルモン)」というホルモンの刺激でつくられます。甲状腺の炎症が軽度ならば「甲状腺ホルモン」は正常に分泌されます。しかし炎症が進むと甲状腺はTSHの刺激に反応しなくなり、甲状腺ホルモンが十分に作られなくなって分泌量が不足してしまいます。

橋本病の患者さんの約9割では甲状腺ホルモンの分泌量は低下しておらず治療の必要がありません。しかし、将来甲状腺機能低下症が起こる可能性があるため半年~一年間に一回は検査を受ける必要があります。

甲状腺機能低下症の症状

甲状腺の病気に共通した症状として「首の腫れ」があります。橋本病の場合甲状腺がゴツゴツして硬くなるのが特徴です。左右均等ではなく、甲状腺の片側だけ大きくなることもあります。

甲状腺ホルモンは体を活性化させるホルモンです。そのため甲状腺機能低下症の段階にいたって甲状腺ホルモンの分泌量が不足すると「疲労」「だるさ」「無気力」などの症状が現れてきます。また、「寒さに弱くなる」「体、特に顔がむくむ」「皮膚が乾燥する」「体重増加」などもみられるようになります。

甲状腺の機能低下が進むと精神的な落ち込みから「うつ状態」となり心身ともに活力が低下することもあります。患者さんによって現れる症状やその程度が異なりあまり感じていないこともあります。また、この症状はほかの病気で、あるいは特に病気でなくてもあることがあるため症状だけから甲状腺機能低下症を発見するのは難しいといえます。

甲状腺機能低下症の検査

血液検査を行うことでほぼ診断することができます。血液検査では血液中に含まれる抗体の有無とTSHおよび甲状腺ホルモンの量を調べます。橋本病に特有の抗体が陽性になります。TSHの量は多いにもかかわらず、甲状腺の反応が悪くなっているため甲状腺ホルモン量は少なくなります。

TSHや甲状腺ホルモンの検査は一般の内科でも受けられます。しかし、症状があったり、検査で異常値が出た場合にはより専門的な診断や治療が必要になります。その際は内分泌内科や甲状腺科などの受診が必要になります。

甲状腺機能低下症の治療

甲状腺機能が正常ならば特に治療はせず、経過観察だけで構いません。甲状腺機能が低下している場合は「甲状腺ほるもん(レボチロキシンナトリウム)」を一日一回服用し不足している甲状腺ホルモンを補充します。この薬は、体内でつくられる甲状腺ホルモンとほぼ同じ成分なので決められた量を守り定期的に受診していれば副作用などの問題はほとんどありません。

もともと体内にある物資を体外から補うという意味では不足したビタミンをビタミン製剤や食べ物で補うことと同様と考えることができます。

また、昆布やひじきなどの海藻類はヨードを多く含んでいます。ヨードを大量に摂取すると甲状腺ホルモンが不足することがあります。海藻類の食べすぎには注意しましょう。

甲状腺機能低下症の鍼灸治療

根本的な甲状腺機能低下症の治療には西洋医学の甲状腺ホルモン剤の服用が基本となります。しかし、鍼灸治療は甲状腺機能低下症による症状改善には効果があります。

甲状腺機能低下症による冷え症に対しては三陰交(さんいんこう:内くるぶしから指四本分上の骨際)にお灸をすえます。疲労・だるさ・無気力には膻中(だんちゅう:両乳頭のまん中)、気海(きかい:おへそのした2センチ)を用います。皮膚の乾燥には曲池(きょくち:肘の曲げてできるシワの外端)を、むくみには照海(しょうかい:内くるぶしの真下)を用いて治療していきます。積極的に西洋医学と鍼灸治療の併用していくことが良いと思われます。

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