心臓神経症南大阪鍼灸所

 category : 精神疾患 

心臓神経症とは

最近「心臓神経症」の患者さんが増加しています。心臓の症状を訴えて心臓の専門外来を受診する人の5人に1人は心臓神経症の患者か、その予備軍といわれています。

患者さんは「ストレス、不安、不眠」などが原因で「自律神経失調症」のような症状がでます。

南大阪鍼灸所にも心臓神経症の症状を訴えて来院されている患者さんがおられます。鍼灸治療を続けることで症状が改善されています。

心臓神経症は心臓に器質的な異常がないにもかかわらず、「胸痛、動悸、息切れ」などまるで心臓病のような症状がでる病気です。

心臓神経症の患者さんは医師の診察を受け、心臓の検査の結果「異常がない」といわれても「自分は心臓に病気があるのではないか」という疑いを捨てることができません。

心臓は、運動するなど体を動かせば、それに必要な血液を体に送り出すためによけいに働きます。また興奮したり、怒りや悲しみ、うれしさなど精神的な刺激にも、とても敏感な臓器です。病気でなくても動悸が激しくなったり、脈が乱れたりすることは普通に起こるのです。

しかし心臓は生命維持に必要な臓器であることから、患者さんの不安や心配はなかなか解消されません。

どのような症状か

心臓神経症の主な症状としては次のようなものがあります。

動悸・・・「脈の乱れ」や「心臓の拍動が速くなる、強くなる」などを感じます。「脈が飛ぶ」と“心臓が今にも止まるのではないか”と不安を強く感じる人が多いようです。

胸痛・圧迫感・・・「狭心症」と同じように胸痛や胸の圧迫感を訴えますが相違点もあります。

息切れ・呼吸困難・・・一般に心臓病で起こりやすい症状です。心臓病の場合は、体を動かしたときに起こることが多いのに対して、心臓神経症では静かにしているときに多く起こります。

めまい・失神・・・心臓神経症が進行した場合に起こります。単独で起こることは少なく「けいれん、激しい動悸、激しい呼吸困難」などを伴って起こることが多くなっています。

心臓神経症と狭心症との違い

心臓神経症の患者さんが訴える症状は狭心症の症状に似ていますが異なる点もあります。

痛む症状・・・狭心症の胸痛は多くが体を動かしているときに、あるいは就寝中なら明け方に起こります。しかし心臓神経症の場合は例えば「一人で本を読んでいるとき」「テレビを見ているとき」などに起こります。

心臓神経症は眠っている間には症状が起こることはほとんどありません。心臓神経症の症状は自律神経のうち交感神経が過度に緊張して起こるものですが、交感神経は主に昼間に活発に働いており、夜は副交感神経が活発になるので昼間に起こることが多いのです。

痛む場所・・・狭心症の場合胸全体から背中や肩の放散痛など広範囲が締め付けられるように痛みます。一方心臓神経症では「圧迫感」や「左胸がチクチクあるいはズキズキ痛む」などの症状を訴えます。

狭心症では痛む場所を尋ねると、胸全体を漠然と指す場合が多いのですが、心臓神経症では左胸の一か所を指し「心臓が痛い」という場合が多いのです。実際は心臓は胸郭の中にあるので「ここが痛い」と一か所を指し示すことはできません。

痛みの持続時間・・・狭心症の場合は痛みの持続時間は5分から10分程度ですが、心臓神経症では数秒間と短かったり、はんたいに長い場合があり、一日中持続することもあります。

原因

ストレスが原因となる

狭心症は心臓の筋肉に酸素や栄養を送っている冠動脈が動脈硬化のため狭くなり、血流が不足したり動脈がけいれんしたりすることで起こります。

一方心臓神経症は多くの場合、ストレスや過労、不安感、不眠などが引き金になって起こります。

特にストレスの影響が多いと言われていますが、心臓神経症の患者さんにたずねると皆さんいろいろなストレスに悩んでいることが分かります。また、ほとんどの患者さんが「不眠」を訴えています。

現代では職場でも、家庭でもストレスを受けることが多くなっています。職場ではリストラ、配置転換、職場の人間関係をはじめ、人によっては昇進のように好ましいことがストレスになることもあります。また家庭では、家族関係や高齢者の介護、配偶者や肉親の死などが大きなストレスとなることがあります。

心理的な動揺が自律神経を乱す

不安など心理的な要因が心臓の症状を吹き起こすのは次のような理由によります。

不安や、怒り、悲しみなどの感情をつかさどる中枢は脳の視床下部にあります。同じ視床下部には自律神経をつかさどる中枢もあるので、心理的な動揺が自律神経を失調させ、息切れなどの症状を引き起こすのです。

治療と予防

治療

治療はまず心臓の専門医による検査を受け、心臓に器質的な異常が何もないことを確認します。心臓に異常がないことを患者さんが納得すれば治療は終了します。患者さんが納得せずに症状が続く場合は「家庭や職場の環境に変化がないか、対人関係に問題はないか、不眠がないか」などストレスの原因を探ります。患者さんが「心臓病ではない、症状は心理的な原因がある」という自分の現実を直視し受け入れることが必要です。

心臓病ではないので心臓病の薬を飲むのは禁物です。

予防法

①ストレス・過労を避ける・・・「適度な運動によって自律神経の失調を防ぐ」「適度の飲酒でリラックスし、気分転換をする」「友人との会話でコミュニケーションを図る」など自分に合ったストレス解消法を見つけてください。

②生きがいを持ってゆとりのある生活を・・・自分なりの目標を持ち、ゆったりと暮らすことが大切です。

③規則正しい生活・・・睡眠、食事、休憩、運動など生活スタイルを見直しましょう。

④誤った自己診断はしない・・・患者さんは医師の「心臓病ではない」という診断にも「たまたま今回は異常が見つからなかっただけではないか」と思い込みがちです。自分は心臓病だと自己判断せずに医師の診断を信頼しましょう。

⑤症状へのこだわりを捨てる・・・少将があったとしても心配いらないものなので、やがて消えることを理解してください。

心臓神経症の鍼灸治療

心臓神経症の人は、左胸が痛む、または圧迫感を訴えられます。そしてその多くの方が左胸の一か所を指しています。

鍼灸治療に来院された際に胸痛を訴えられている場合は器質的に異常はないのですが、訴えている個所にはり、灸をして“手当て”をおこないます。

これは痛みを訴えられている場合には必ず行います。この手当をすることで自律神経のうち交感神経の興奮が抑えられ、胸痛や、息切れ、動悸などを改善します。また、胸部の症状の軽減に膻中、少海、内関を用います。

さらに、心臓神経症の患者さんの多くは不眠を訴えられています。不眠を解消することで心臓神経症の症状が軽くなります。不眠に対しては失眠にお灸を、百会にはり、灸を行ないます。

また腹診の際には、胸脇苦満が現れている患者さんが多数見受けられます。これは、ご本人は自覚していない場合もありますが、日頃から常に腹部に力が入り、体の緊張が続いていることを示しています。体の緊張を緩めるように合谷、期門、気海、足三里などを用い、背部では肩井、心兪肝兪腎兪を用いて鍼灸治療を行います。

心臓神経症は心臓が悪い病気ではありません。鍼灸治療は心臓神経症の患者さんの症状に対して“手当て”のできる治療です。

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