豊隆南大阪鍼灸所
足の陽明胃経:豊隆(ほうりゅう)
基本情報
所属経絡 | 足の陽明胃経・絡穴 |
取穴部位 | 外果の上8寸、条口穴の外方に一筋へだてた陥凹部にとる |
筋肉 | 前脛骨筋、長指伸筋 |
運動神経 | 深腓骨神経 |
知覚神経 | 外側腓腹皮神経 |
血管 | 前脛骨動脈 |
解説
豊隆穴は外くるぶし(外果)の最も高いところから上に8寸上がったところに取穴します。足三里穴から外果までが1尺3寸(13寸)ですので、足三里穴から下に5寸下がったところにある条口穴と同じ高さにあることになります。条口穴は前脛骨筋にあるので、その横の前脛骨筋と長指伸筋の間のくぼみに位置します。
分かりにくい時には膝関節のシワから外果までは1尺6寸(16寸)ですので、その半分の高さだと考えてもいいでしょう。
「豊隆」という名は、「豊」は豊富、「隆」は盛んという意味があり、肌肉が豊かに盛り上がっているところにあるのが由来になっているとされています。また、豊隆とは雷神の名で、雷が地上に起こり、巡って雲になり雨を降らせ、後に天は晴れることも由来になっているといわれています。
- 『十四経発揮』:外踝の上8寸、脛の外廉を下る陥中に在り。分かれて太陰に走る
- 『甲乙経』:足の陽明の絡也、外踝の上8寸、下廉の脛の外廉、陥なる者の中、分かれて太陰に走るものに在り
- 『霊枢』:踝を去ること8寸、分かれて太陰に走る
足の陽明の絡也とあるように、豊隆穴は胃経の絡穴です。絡穴はほかの経絡とつながっている経穴のことで、胃経はこの豊隆穴から分かれて太陰である脾経に流れていきます。
- 『経脉篇』:其の別なる者は脛骨の外廉を循り、上って頭項を絡い、諸経の気を合せて、下って喉嗌を絡う。其の病、気逆するときは喉痺瘁瘖す。実するときは狂癲し、虚するときは足収まらず、脛枯る。之を別るる所に取る也
このように、豊隆穴はのどに対する疾患に対して効果があります。のどの痛みや嗄声などの症状があるときにはこの経穴に鍼や灸を行います。
また、長指伸筋が深部にあるため、鍼をすると足の甲の辺りに響きが出てきます。下肢麻痺や足背痛があるときに豊隆穴に鍼をするときには、このような響きを出すような鍼をすることもあります。
曲池・内関と組み合わせて高血圧の治療を、膻中と組み合わせて癲癇の治療を行うこともあります。