慢性腎臓病南大阪鍼灸所

 category : 生殖泌尿器疾患 

腎臓の働きが低下する病気。中高年に増えてきています。

慢性腎臓病」とは、腎臓の働きが徐々に低下する病気です。以前は「腎臓病」というと、小児や30歳代くらいまでの人が多いと言われてきました。しかし、最近は「生活習慣病」の患者さんの増加によって、中高年で慢性腎臓病を発症する人が増えています。

現在、日本の成人では、およそ8人に1人にあたる約1330万人が慢性腎臓病と推計されています。しかし慢性腎臓病はかなり進行しないと自覚症状が現れないため、発症していることに気付いていない人が少なくないと考えられています。

南大阪鍼灸所にも慢性腎臓病の患者さんが鍼灸治療に来られています。しかし、初めから、「慢性腎臓病の治療をしてください」と来院される方はほとんどいません。問診で「最近身体がだるい」、また触診をしていると「足がむくんでいる」など訴える患者さんが多くおられます。

気づかぬうちに慢性腎臓病が進行し、腎臓がほとんど働かない「腎不全」になると、人工的に腎臓の働きを補う「透析療法」が必要になる場合もあります。さらに、慢性腎臓病から「心筋梗塞」や「脳卒中」などの重篤な病気につながる危険性もあります。そのため、できるだけ早く発見して治療を始めることが大切です。

腎臓の働きが低下すると尿中にたんぱくが漏れ出したり老廃物が排出されなくなる

腎臓は握りこぶしほどの大きさの臓器で、背中側の腰辺りに左右1個ずつあります。

腎臓には様々な働きがありますが、最も重要な働きは、血液中の老廃物をろ過して、尿として体の外に排出すること(腎機能)です。そのほか、体内の水分量や「塩分」「カリウム」「リン」などの濃度を一定に保ったり、血圧を調整するホルモンをつくるのに必要な物質や、摂家灸をつくるのに必要なホルモンを分泌しています。また、カルシウムの吸収を助けて骨を丈夫にする「ビタミンD」を活性化するのも腎臓の働きです。

慢性腎臓病では、長期にわたって腎臓が障害されて、本来排出されることのないたんぱくが尿中に漏れ出したり、血液中の老廃物をうまく排出できなくなります。

慢性腎臓病の危険因子は糖尿病や高血圧、喫煙などがリスクとなる

慢性腎臓病の危険因子には、「糖尿病」「高血圧」「肥満」「脂質異常症」などがの生活習慣病があります。例えば、糖尿病や高血圧があると、腎臓の血管が障害されて、腎臓の働きが徐々に低下することが分かっています。また、「喫煙」などの生活習慣も慢性腎臓病の大きな引き金になると考えられています。

一方、腎臓の機能は加齢とともに低下すると考えており、慢性腎臓病は高齢になると誰でも起こる可能性は高くなります。また、男性であることや「過去に腎臓病を発症した経験がある」「家族にも腎臓病の患者さんがいる」ことなども、発症率を高める要因となります。

主に、尿検査や血清クレアチニン検査から診断される

慢性腎臓病かどうか確定診断するうえで重要なのが次の2つの検査です。

▼尿検査(尿たんぱく検査)

採取した尿に試験紙を浸して、尿中にたんぱくが漏れていないかを調べます。

尿中から多量のたんぱくが検出される「たんぱく尿」がある場合(尿たんぱく陽性)は腎臓が障害されている可能性があります。ただし健康な人でも発熱後や激しい運動後などは、一時的に尿たんぱくが出ることがあります。そのため、1回の検査で陽性だっただけでは、慢性腎臓病とは診断しません。確定診断のためには3ヶ月以上あけて再検査を受ける必要があります。

ただし、たんぱく尿に加えて「血尿」が出ている場合は、急速に腎臓の働きが低下している病気の可能性があるため、直ちに受信して詳しい検査を受けてください。

▼血清クレアチニン検査

腎機能が低下すると、血液中の老廃物がろ過されなくなります。そのため、血液検査で、血液中の「クレアチニン」という老廃物の一種の値を調べて、値が高くなっていないかどうかを調べます。

血清クレアチニン値を基に性別や年齢などを加味した計算式に当てはめると、腎機能を推算できます。この場合も1回の検査結果だけでは診断することはできないため再検査が必要になってきます。

これらの結果、「尿たんぱく陽性」「腎機能が60未満に低下している」のいずれか、または両方が3ヶ月以上続いている場合は慢性腎臓病と診断されます。

慢性腎臓病が進行すると、だるさ、めまい、むくみなどの症状が現れる

慢性腎臓病は、早期にはほとんど自覚症状が現れません。そのため、「尿たんぱく検査」や「血清クレアチニン検査」で慢性腎臓病が見つかっても、病気の重大さがわからずに放置している人が少なくありません。適切な治療を受けずにを放置していると、慢性腎臓病が進行し、全身にさまざまの症状が現れてきます。

▼慢性腎臓病の主な症状

代表的な症状は次の3つです。

だるさ―腎機能が著しく低下して、排出されるはずの老廃物が体内に蓄積されるために起こります。この状態を「尿毒症」といいます。

めまい―赤血球をつくるのに必要なホルモンを産生・分泌できなくなって貧血が起こるために現れます。

むくみ―体内の水分量の調整ができなくなり、余分な水分が増えるために起こります。

このほかにも「食欲不振」「息切れ」「吐き気」「嘔吐」などが現れる場合もあります。こうした症状は腎機能が30%未満に低下すると現れてくるもので、症状が現れる前とでは治療内容が変わってきます。

慢性腎臓病の治療

慢性腎臓病の治療では、薬を使って腎臓の機能を補うことで、進行を遅らせたり、腎臓の機能が低下することで起きる症状を改善したりします。

症状が現れた場合は「糖尿病」「高血圧」などの慢性腎臓病の原因に対する治療と並行して症状を改善する治療を行います。

例えば、腎機能が低下すると、血液中の老廃物が尿へ十分に排出されず体内にたまってしまい、だるさなどを訴える尿毒症になります。
腸の中で、尿毒症の原因となる毒素を吸着し、体内に吸収させることなく、便とともに排泄させる薬を使って、尿毒症の症状を改善します。

めまいに対しては直接の原因である貧血を改善するための治療を行います。貧血を治療することによって、腎臓の働きが悪くなるのをおさえることができるといわれており、また貧血は心不全を悪化させる原因にもなります。

むくみが出ている場合は「利尿薬」を使って体内の水分量を調整し、血圧を安定させます。

食事療法では塩分の摂取量を抑えることと、摂取エネルギーを適正量にすることが基本となります。ただしむくみがある場合は、1日の塩分量を6g未満に厳守します。塩分を摂り過ぎると体に水分がたまり、血圧が上がったりむくみが出たりします。高血圧になると腎臓に負担がかかります。

患者さんの状態によってはたんぱく質の摂取量を制限します。たんぱく質は、体を作るもとになる大事な栄養素ですが、腎臓に負担がかかる“燃えかす”がでるので、必要以上に摂らないように制限する必要があります。

また、カリウムの摂取制限が必要になる場合もあります慢性腎臓病が進行すると体内のカリウムがうまく排出できなくなります。その結果「負債脈」を起こして命の危険性がある場合があります。カリウムを多く含む果物や生野菜の摂取を制限します.

慢性腎臓病の鍼灸治療

東洋医学では慢性腎臓病の状態を「水毒」が影響していると考えて治療します。水毒の「水」とは、血液以外のリンパ液を含む体内の水分のことです。そして、体内の排出されないよけいな水のことを水毒といいます。この水毒になるとさまざまな症状が現れてきます。代表的な症状はむくみ(浮腫)、めまい、立ちくらみ、頭が重い(頭重感)、胃のむかつき、食欲不振、下痢便秘などが現れます。

この水毒を見つける簡単な方法があります。それは「舌」を見ることです。「あっかんべー」と舌を出してみてください。出した舌の縁にギョウザのヒダのように、またはギャザーのような痕がついていませんか?もしついていたら、水毒になっている証拠です。また、胃がチャポン、チャポンという感じがありませんか?これは胃内停水といって、胃壁がむくんでいる証拠です。この状態の時も水毒になっています。

水毒を改善させると慢性腎臓病の症状も自然と緩和されてきます。

水毒を改善させるツボとして百会(ひゃくえ:頭のてっぺん)にあるツボにお灸をします。百会は水毒を改善させるだけではなく、自律神経失調症にも大変効果的で、使用頻度の多いツボです。また、水分(すいぶん:おへそのすぐ上)のツボを用います。水分はお腹にあり、胃や腸のむくみを改善させる効果があります。関元(かんげん:おへその指4本分下)は体の水分を尿として排出させる効果的なツボです。

足のツボでは三陰交(さんいんこう:内くるぶしから指4本分上)を用います。三陰交は利尿作用、冷え、便通改善の効果が期待できます。また失眠(しつみん:かかとの中央)にお灸をすえ、身体の水分を外に排出するのを促します。

慢性腎臓病は進行すると一生付き合うことになる病気です。継続的に鍼灸治療を行うことで生活の質(QOL)を高める手伝いができると思います。

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