足三里南大阪鍼灸所
足の陽明胃経:足三里(あしさんり)
基本情報
所属経絡 | 足の陽明胃経(合土穴・四総穴) |
取穴部位 | 膝を立てて、外膝眼穴の下3寸にとる |
筋肉 | 前脛骨筋 |
運動神経 | 深腓骨神経 |
知覚神経 | 外側腓腹皮神経 |
血管 | 前脛骨動脈 |
解説
足三里穴は膝の下にある外膝眼穴から下3寸のところにとります。外膝眼穴は膝の皿(膝蓋骨)の下にある2つのくぼみのうち、外側のくぼみにある経穴で、ここから下に3寸降りたところが足三里穴になります。
膝蓋骨から足関節までは1尺6寸(16寸)ですので、足三里穴はこの長さを4等分した位置からさらに少し上の部分にあたります。ややこしいと思いますので、わかりにくい人は同身寸の3寸である指の幅4本分を膝から下に行ったところと考えてもいいでしょう。
また、別の簡易的な取穴法としては、膝を立てて脛骨の前縁を指で撫で上げていき、指が止まったところの外側の陥凹部を足三里穴としてとることもあります。
どのような方法で取穴した場合でも、足三里穴は指で真っ直ぐに押さえると足先にまで響く感じが出ますので、だいたいの位置に検討をつけたら、指で押さえて探していくようにしましょう。
- 『十四経発揮』:膝眼の下3寸、脛骨の外、大筋の内苑々たる中に在り。足を上げてこれを取る。極めて重く之をおすときは、跗上の動脈止む
- 『甲乙経』:膝の下3寸、脛の外廉に在り。足の陽明の脈気の入る所也、合と為す
- 『霊枢』:下陵は膝の下3寸、脛骨の外、三里也、合と為す
- 『素問』:膝の下3寸、脛の外廉、両筋間の分間に在り
下陵とは足三里穴の別名のことです。ほかにも「鬼邪」と呼ばれることがあります。「鬼」という漢字は「大切なもの」という意味があり、この足三里穴は重要な経穴であると古来より考えられています。
また、足三里穴は「合穴」で、「逆気して泄するを主る」といわれています。気が上った状態を落ち着けることができるのでさまざまな疾患に対して用いられます。
そのほか、足三里穴は四総穴の一つです。「肚腹は三里に収む」といわれており、また、胃中の熱を写するとされていて、胃疾患に対して非常に効果があります。
そして、足三里穴は脚気八処の灸の一つとしてもよく用いられます。
松尾芭蕉も足三里に灸をして旅をしていたと書き記しており、健康管理に最適なツボとしても有名です。
中脘と組み合わせて急性・慢性胃痛の治療に用いたり、中脘・天枢・気海と組み合わせて急性・慢性腸炎や消化不良などを治療します。そのほか、環跳・陽陵泉・懸鐘と組み合わせて下肢不随、小児麻痺後遺症などの治療に使うことがあります。