天柱南大阪鍼灸所
足の太陽膀胱経:天柱(てんちゅう)
基本情報
所属経絡 | 足の太陽膀胱経 |
取穴部位 | 瘂門穴の外、1寸3分に取る(注)頭半棘筋の膨隆部の外縁に当たる |
筋肉 | 僧帽筋、頭半棘筋、頭板状筋 |
運動神経 | 副神経、頚神経叢筋枝、脊髄神経後枝 |
知覚神経 | 大後頭神経 |
血管 | 後頭動脈 |
解説
天柱穴は瘂門穴(正中線上で髪の生え際の少し上)から1寸3分外方に取穴する経穴です。
「天」とは頭部を指し、それを支える支柱である頚椎を「柱」と呼びます。この経穴は頚椎という柱の上に頭蓋骨が支えているところからこのように名付けられました。
- 『十四経発揮』:頸の大筋の外廉、項を挟む髪際の陥中に在り
- 『甲乙経』:項を挟む後髪際、大筋の外廉陥なる者の中に在り
- 『素問』:項中、大筋の両傍
天柱穴は髪際の陥中に在りとされており、そこに取穴することも多いのですが、患者さんによってはもう少し上に反応が現れていることもあります。これを上天柱などと読んだりしますが、実際の臨床ではその時に反応の出ているほうを取穴して治療に用いています。
天柱穴は非常に重要な経穴で、多くの症状に対して用いられます。よくあるのが首や肩のコリなどで、そこから派生して頭痛に対しても非常に効果が高いです。
さらには古典でも涙が出るときは天柱を使えと言われており、目の疾患に対しても効果があります。この時、右目に対しては左の天柱穴を用いるというように反対側の経穴を使用する場合もあります。
そのほか、不眠症の患者さんに対しても天柱穴を使用します。不眠の人の多くは後頚部がよく凝っていて、ここのコリを解消することで眠れるようになることが多いのです。
また、頚部には頭部(脳)に血液を送る血管が通っているため、脳疾患に対しても使用されることがあります。高血圧や低血圧、脳卒中などの時に使用します。
ほかにも蓄膿症や鼻炎などの鼻疾患に対しても良い効果があります。
膀胱経は背部を2つの経絡が走行することになるのですが、和漢三才図会などによれば背部第二行は天柱穴より出て行くとされています。このため、背部にある症状に対しても天柱穴を用いることで改善することがよくあります。
大杼・風門・巨骨と組み合わせて項背の疼痛を、内関・陽陵泉と組み合わせて高血圧の治療を行います。