胃の起こるさまざまな症状南大阪鍼灸所
かつて慢性胃炎といわれた病気
内視鏡などの検査で胃に炎症や潰瘍がなくても、胃もたれ・痛み・胸やけなどの症状を訴える患者さんが増えています。これまで、このような症状は「慢性胃炎」として診断が下されていました。しかし、胃に炎症などはないのに、胃炎という呼び方はそぐわないということで、最近では「機能性胃腸症」という呼び方に変わっています。
機能性胃腸症の診断基準となるのは以下の3つです。
1.胃の不快な症状が4週間以上続く。
2.病院での検査で、特に大きな異常が認められない。
3.貧血や体重減少が少ない。
以上の3点が当てはまれば、機能性胃腸症として診断されます。
機能性胃腸症のタイプ
●運動不全型
症状…もたれ、膨満感、食欲不振、むかつきなど
原因…不規則な生活、食べ過ぎ、ストレス、薬の副作用など。胃の運動機能が低下し、食べ物を消化する速度が遅くなり、胃の中に食べ物が滞留する。
●潰瘍症状型
症状…胃・十二指腸潰瘍に似た痛み(みぞおちの痛み、重ぐるしい痛み、空腹時の痛み)
原因…不規則な生活、食べ過ぎ、ストレス、薬の副作用など。特に胃酸の分泌が促進されていると考えられる。
●逆流症状型
症状…胸やけ(酸っぱいものが込み上げる、胸が熱くなる)など
原因…食べ過ぎ、長時間前かがみになるなど。遺産が食道の方へ逆流するために起こる。
機能性胃腸症について
ストレスなどさまざまな原因はありますが、胃腸の機能を低下させる最大の原因は、食習慣の乱れです。「早食い・食べ過ぎ・すすり食い」は、空気を多量に飲み込むことなどから胃を膨らませ、痛み・もたれ・ゲップ・胃酸の逆流を引き起こします。また、消化の不十分なものが腸に送られることも、痛みやもたれの原因となります。
機能性胃腸症の対策
1.食べる量は控えめに。
「腹八分」で胃の働きに余裕ができると、食べ物と胃酸がよく混ざり合い、効率的に消化が進みます。
2.食事の時間を規則的に。
例えば、朝食を抜き空腹が続くと、昼に一気に食べて、胃に負担がかかります。また、空腹時が胃の中が酸性になり、胃の粘膜を刺激することになります。
3.食後はゆっくり休む。
消化活動の促進には十分な血流が必要です。食後すぐに動き出したり、入浴したりすると、血液は手足の筋肉に流れ、胃に十分な量がいかず、消化不良や腹痛の原因になります。食後30分~1時間はゆっくり休みましょう。
しかし、横になって休むと、遺産が食道へ逆流しやすくなるので、避けてください。また、食後すぐに眠ると胃の働きが停滞するため、胃もたれの原因となります。
4.食材選び
胃に負担をかけず消化のいいものを選びましょう。また、「煮る、蒸す、ゆでる」など調理法も工夫しましょう。
●控えめにしたい食材
・脂肪の多い肉類(肉の脂身、ハム、ソーセージ、ベーコンなど)
・消化の悪い魚介類(いか、干物、タコなど)
・消化の悪いもの(わらび、キノコ類、ゴボウ)
・刺激の強い香辛料(カレー、トウガラシ、わさび、こしょうなど)
・そのほか(コーヒー、アルコール、タバコなど)
東洋医学的診方
東洋医学では、脾を整えたり、肝の高ぶりを抑えるようなツボを使い、機能性胃腸症にアプローチしていきます。
東洋医学では、脾は主に消化吸収の働きを担い、肝は精神的ストレスなどと関係が深いと考えられていますが、これは現代医学でいう、いわゆる脾臓、肝臓とは考えを異にするものです。
ツボ療法で元気になろう!
章門(しょうもん)
場所…側腹部に手を置き、最も下方に触れる肋骨の先端にとる。
効能…消化吸収をよくする。イライラを抑える。