精神的ストレスのある患者さんで胸鎖乳突筋に反応が見られた例南大阪鍼灸所

 category : 頚肩腕 

引っ越しなどの精神的ストレスによる、首のこり・全身倦怠感が現れた41歳女性の症例報告

41歳女性、4月にマンションに引っ越しをした後から体の具合が悪くなった。後頚部~後頭部のこりと痛み・全身がだるい・やる気がない・目の奥が痛い・外に出たくないなどが愁訴である。

そのマンションでは殺人事件があったり、自殺者が出たりということも気にしているようである。また、引っ越し自体も、精神的にとても負担になって疲れたともいう。

治療

眉毛の内端にあるツボの攅竹のお灸、頚部・肩甲間部~背部のこりや痛むところへお灸と鍼を行った。この治療により全体の症状はだいぶよくなり、頚部~背部のこりが軽くなると、風池の外側から胸鎖乳突筋にかけてのこりが最後に残った。

そこで、風池の外側から胸鎖乳突筋にかけてのこりの部分に置鍼すると症状が急によくなったように思う。

精神的ストレスは胸鎖乳突筋に出るとはよく聞くが、そういうことかも知れない。最初からこの部分を治療していればもっと早くよくなったのではないかと思う。

所長コメント

引っ越し仕事というのは体も疲れるものですが、いろいろなものを整理する作業というのは精神的にも非常に疲れるものです。心身両面の疲労の原因ともなりやすいものです。実際、引越し後に体調をくずす方はかなり多いように経験いたします。

印象ではありますが、この患者さんは引越しの疲労によって一時的に軽い抑鬱状態に陥っていたような気がいたします。

胸鎖乳突筋のこりを自覚する患者さんは少ないように思いますが、この部分がこっていたり、圧痛が強かったりする方は多くいらっしゃいます。そして、それを軽減するような治療をすると、思わぬ症状が取れる事がよくあります。いろいろな患者さんで触診してみるとよいように思います。親指と人差し指の先でつまむように触診するのもよい方法です。

この症例では、最初から胸鎖乳突筋をよく触診してこりを見つけ、胸鎖乳突筋の治療を加えていたら、もっと早くよくなったかも知れません。

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