天宗・昆侖の刺鍼で殿部痛が軽快した例南大阪鍼灸所

 category : 腰下肢 

《症例》10代女性の殿部痛(お尻の痛み)軽減の症例

清掃中、無理な姿勢を取ったせいで、右殿部(右おしり)あたりに、痛みが起こるようになったといいます。

痛めている右のお尻に鍼や皮内針を試みましたが、特に変化はありません。圧痛点はお尻にある胞肓(ほうこう)及びその外側に3点、坐骨神経ブロック点付近にありました。

天宗を押圧で殿部の圧痛点が消失

以前、お尻の痛みが肩甲骨の天宗(てんそう)で取れたという経験から、同側の天宗を押圧しながら、おしりの圧痛点の変化を見ました。すると胞肓付近の圧痛点(3点)は痛みがなくなり、天宗に鍼を4本置鍼(局所への集中鍼)したところ、天宗を押圧したときと同じ効果が得られ、胞肓付近3点の圧痛点は消失しました。

坐骨神経ブロック点付近の圧痛は消えなかったので、肩甲骨と殿部を対応させて考えて、患側の天宗の2寸下のあたりを押圧しながら坐骨神経ブロック点あたりの圧痛が消えないか試したがやや軽減する程度でした。

そこで患側の足首にある昆侖(こんろん)を押圧してみると坐骨神経ブロック点付近の圧痛は軽減し、昆侖に2本置鍼(局所への集中鍼)をすると、坐骨神経ブロック点の圧痛は消失しました。

最後に天宗と昆侖に皮内針を入れ、殿部の圧痛に銀粒を貼付し治療を終えました。10日後来院時には殿部の症状はなくなっていました。

[解説]上肢と下肢を対応させ殿部の症状を肩甲部で治療

想像をたくましくすると下肢を支えるのは骨盤であれば、上肢を支えるのは肩甲骨という見方もできます。そのような発想で上肢と下肢を対応させ、殿部(おしり)の症状を肩甲部の治療で改善したということでしょう。

突飛な発想のような印象も受けますが、右手が痛いときに左手の同じところを刺激したり(巨刺などはよい例でしょう)、痛のときに頭のてっぺんの百会(ひゃくえ)を刺激することは鍼灸治療では普通にやりますので、手が痛いときに足のツボを使う、殿部が痛いときに肩甲部を使うという発想もさほどおかしくないかもしれません。

また「はじめから局所の治療を行っておいた方がよかったのでは」と思われる方もいるかもしれません。しかし、今回のような症例ではなく、殿部の外傷や褥瘡などで、局所の治療が困難な例に出会うことがあった場合など局所に鍼灸治療ができないときには、今回の症例は大変役に立つものです。

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