腱板断裂南大阪鍼灸所
肩の痛み
肩の複雑な動きをコントロールしている筋肉と骨をつないでいる部分を『腱板』といいます。肩には4つの腱板があり、上腕骨の関節部分を覆っています。腱板が上腕骨を包むことで、肩の安定性を保ちます。さらに、腕をいろいろな方向へ動かすのに働いています。例えば、胸側にある腱板は、肩を内側にねじる働きをし、肩の上にある腱板は、肩を上に持ち上げる働きをしています。その腱板が障害されると肩に痛みが起こります。
腱板に起きる主な障害に「腱板断裂」があります。肩の4つの腱板には「棘上筋」「棘下筋」「肩甲下筋」「小円筋」の腱板があります。その中でも「棘上筋」の腱板が最も障害されやすく腱板断裂全体の約95%を占めています。
腱板断裂とは
上腕骨に付いている腱板が裂けたり切れたりする病気です。通常は肩に強い衝撃や力がかかったときに起こり、スポーツで肩を使いすぎたり、転倒した場合などに生じます。
しかし、こうした原因がなくても加齢に伴って腱が弱くなるため、自然に腱板が切れてしまうことがあります。
腱板断裂は中高年に多く、50歳代では10人に1人、80歳代では3人に1人の割合で発症しているというデータがあります。
腱板断裂と五十肩の違いは、痛みの現れ方に違いがあります。五十肩では、腕を上げる途中では痛みがなく、これ以上あげれないという、動きの最後の時点で痛みが起こります。一方、腱板断裂では、腕を上げる途中に痛みが起こり、動きの最後の時点では痛みがありません。
腱板断裂の症状
○安静時にも強い痛み……肩の動きをスムーズにする滑液をつくっている滑液包に炎症が起こり、動かした時のみではなく安静時にも痛みます。しかし、ゆっくり進行した場合には、あまり痛まないことが多いです。
○腕が上がりにくい……腱板の断裂により腕に力が伝わらないので腕を上げにくくなります。
○筋肉がやせて弱る……断裂を放置していると、筋肉が使われなくなり筋肉がやせて弱ります。
○ペインフルアークサイン……肩を外へ開いて上げていく時、60度から120度まで痛みがあり、120度を超えると痛みが和らぎます。
腱板断裂の治療
主に「保存療法」で痛みや炎症を抑えます。また、「手術療法」が行われることもあります。
保存療法では、薬物療法、運動療法、温熱療法等があります。薬物療法では、肩の痛みに対して主に非ステロイド系の抗炎症薬を使用します。激しい痛みがある場合は、ステロイド薬の使用や関節内に麻酔薬を注射します。運動療法では、無理のない範囲で少しずつ肩を動かすようにしていきます。温熱療法では、炎症が治まった段階で肩の筋肉の血流をよくし、動きをよくしていきます。保存療法を行って痛みが取れても、十分に動きの改善がみられず、日常生活に支障を来たすほど肩の動きが障害されている場合は手術療法が検討されます。また、一般に50歳代くらいまでの人は、日常の活動性が高く、仕事や運動などで肩を使うことが多いため、断裂した腱板を元のようにつなぐための手術が行われます。
手術療法では、断裂した腱板を骨につないで修復する腱板修復術が行われます。腱板修復術では、肩を切開して周囲の筋肉を傷つけないように腱板を露出させます。そして断裂した腱板と上腕骨を糸で留めます。肩を大きく切開せず「関節鏡」という「内視鏡」を使った方法も行われています。手術は、肩の動きを十分に回復させるために、筋肉が衰えてない早い段階で行われることが望ましいとされています。
手術後にはリハビリテーションに取り組むことが大切です。リハビリテーション指導者の指導に従ってリハビリテーションを3~4ヶ月間継続することで、以前のように腕を使えるようになります。なお、手術を受けても、加齢や使いすぎなどで弱まった状態の腱板が、若い時のような状態に戻るわけではありません。手術後に、転倒して肩を打ったり、使いすぎたりすると、再び断裂するおそれがあるので注意が必要です。
鍼灸治療の効果
肩の働きに関わっている筋肉をゆるめて痛み和らげ損傷部の負担を軽減します。
腱板損傷部は痛みなどにより緊張しています。その緊張をゆるめることにより血流が良くなり損傷組織の回復を促します。
肩にあるツボを使って痛みや炎症を抑えていきます。また、全身治療によりはやく肩の炎症が治まるようにします。
手術療法を行った場合でも術後の回復に鍼灸治療が有効です。
ツボ療法で元気になろう!
【肩髃・けんぐう】
場所…肩を外に90度開いたときに肩の前にできるくぼみ
効能…肩の痛み、肩関節炎、蕁麻疹等