大杼南大阪鍼灸所
足の太陽膀胱経:大杼(だいじょ)
基本情報
所属経絡 | 足の太陽膀胱経(骨会) |
取穴部位 | 第1・第2胸椎棘突起間の外1寸5分に取る |
筋肉 | 僧帽筋、菱形筋 |
運動神経 | 副神経、頚神経叢筋枝、肩甲背神経 |
知覚神経 | 胸神経後枝 |
血管 | 頚横動脈の枝、肋間動脈 |
解説
大杼穴は背骨のうちの第1と第2番目の胸椎の間から外に1寸5分離れたところに取穴する経穴です。
「杼」というのは機織りに使う杼という道具を指しています。脊椎の両側に伸びる横突起が杼に似ているので古くは杼骨と呼ばれていたのです。この経穴は一番大きい第1胸椎の両脇にあることから、大杼と呼ばれるようになりました。
- 『十四経発揮』:項の後、第1椎の下に在り。大杼より白環兪に至って諸穴並に背部の第二行、背中を相去ること各1寸5分
- 『甲乙経』:項の第1椎の下の両傍各1寸5分、陥なる者の中に在り。足の太陽・手の太陽之会
- 『霊枢』:督脈の別絡と手足の太陽三脉之会。衝脈は其の輸、上は大杼に在り、したは巨虚の上下廉に出ず
- 『難経』:骨は大杼に会す
- 『素問』:大杼膺兪欠盆背兪、此の八は以て胸中の熱を瀉するところ也
大杼穴は督脈の陶道穴の外1寸5分になり、第1肋間にあたります。
甲乙経にもあるように大杼穴は手足の太陽経すなわち小腸経と膀胱経に関係しており、督脈の別絡でもあります。督脈は「陽脈の海」であり、太陽は陽の最も大なるものであるため、大杼穴はこの両陽が交会する所であるから、陽気を調節するのに最も大切なところであると言えます。そのほか、大杼穴は手の少陽三焦経や足の少陽胆経とも交会しているとされています。
また、大杼穴は骨会とされており、骨病を治すのに良いとされています。
さらに大杼穴は胸中の熱を瀉するところとされており、この部位にある咽頭炎や扁桃炎、初期肺浸潤、気管支炎などの微熱を取るのに良いとされています。
この部位の奥には肺があるため、あまり深く鍼を刺すことはありません。また、座った状態で鍼をすると希に脳貧血を起こしてフラッとすることもあるので、多くの場合はうつ伏せになった状態で鍼をしていきます。
大椎・陶道・後谿と組み合わせて頭痛や悪寒発熱して無汗の治療を、大椎・華陀挟脊・委中と組み合わせて背中のはりを治療していきます。