腰痛で来院された患者さんが1ヶ月後に亡くなられていた例南大阪鍼灸所

 category : 腰下肢 

腰の安静時痛、夜間痛のある50歳代男性の症例

50歳代男性、腰部下方の痛み、鼠径部の痛みで来院されました。腰部下方は痛みの程度がひどく、安静時痛、夜間痛がありました。鼠径部には圧痛があり、下腹部は硬い感じがしました。

治療

局所に鍼治療を10日間で4回行い、治療したときは症状は多少よいという程度で症状の改善が見られなかったので、近隣の内科へ行ってもらいました。内科では便秘が原因だといわれ処置されたそうです。その後、治療に来られなくなりました。そして、1ヶ月程した頃に新聞の死亡記事を見ていたら、その患者さんがお亡くなりになっていたとがわかりました。

所長コメント

この症例の場合は、安静時痛があったり、夜間痛があり、動作時痛が主体でなかった事から整形外科的な腰痛ではない事が想像できます。私も数例経験致しましたが、直腸やS状結腸付近の癌で、腰部下方から仙骨部に腰痛が出た例がありました。やはり、治療をするとすこしよいのですが、なかなか効果が続きませんでしたし、便通異常や出血(本人はといっておられましたが)がありました。

この症例も、もう治療に来られたときはそれなりに癌が大きくなっていた事と思いますが、やはり全身的な所見や愁訴を一通り聞いておくと、より早い段階で異常に気づけたかも知れません。

便秘の経過(便秘と下痢が交互に来る例もあります)・出血の有無(「痔出血のある人が大腸癌にならない」ということはありませんので、注意しなければなりません)・安静時痛・夜間痛・体重の変化・疲労感の有無などを問診していれば、問題がもっと早期に発見できたかも知れません。

しかし、10日ぐらいの治療で他の医療機関に治療が移った事は、結果的に良かったといえると思います。

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